田舎の葬儀の思い出

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田舎の葬儀は思いの外かんぺき

潮風が雲雀の歌をさらって

上空へと舞いあげる

あれはそうか

ひとつの魂を先導しているのかね


おばあちゃんの唇に

あいこおばちゃんが

真っ赤なルージュを塗った

  おばちゃんそんな色持ってたの

縮んだおばあちゃんのそこだけ

艶やかにてらてらと赤く赤すぎて

むくりと起き上がって

「やめてけれや」とエプロンのはしで

ぬぐいとってしまいそう

「ばあちゃんだって女だもの

 きれいな顔でじいちゃんに会いたいべさ」

って

みんなわかってないな

ハマナスの花を髪に

挿してあげればいいんだよ

潮風が薫る

波の音を宿した

あの美しい花を

銀色の髪に


頂きで残雪輝く山に抱かれて

いつまでもめそめそ泣き止まない耳には

おじいちゃんの笑い声が

聞こえていた

どこか呑気な初夏の海では

カモメの飛行部隊が快調に

岸から沖へと発着を繰り返していた


山高くして

鳥はうたい

山高くして

鳥は飛ぶ

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