2020-07-22 薔薇さんさよなら 「わたくしをご覧になって」と勝ち誇っていた薔薇を見にゆくと艶やかなビロードのようだった花弁は悪意なき陽に焼かれてすっかりくしゃくしゃ赤茶けて静かにうなだれていたきみはきみの1番よいときを無駄遣いしなかったのだ傲慢なほどの勝気さで自身の在り様を誇るのは間違いではなかったのだだってきみは薔薇だものいつかぼくらもそう思うんだあの頃ぼくらはなんて美しかったのだろうとその美しい時を惜しみなく使い切ったんだと