めんたまのひみつ

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満ち満ちて

心を押し広げる想いに圧迫されて

めんたまが飛び出てしまった

ぼくのめんたま

右目は西へ太陽を追いかけて

左目は東へ太陽をお迎えに

それぞれに旅立って行った

道々片目たちはそれぞれ

行く先々の悲しみと喜びに焦点を合わせて

あらゆる涙と笑みを数えながら

地球の裏側で再会し

帰路は逆のものを見ながら

出発地点へと戻ることにした

きたきた

もどってきたぼくのめんたま

見事なホールインワンをきめて

めんたまは元の場所におさまり

ぼくは小首を傾げて

記憶された様々を

混沌へと放ってやった


そんなわけでぶんちょはね

片目で地上の悲しみを見つけても

もう片方の目では

天上の喜びを見ることができるのです


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ぼくのしっぽ

残り一本になっちゃった!

ぼくレモンぶんちょになっちゃうかも

           ぷぷ

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ええええ

ぼくおにいちゃんのしっぽ大好きなのに!

カミカミしたいのに!

           ぷぎゅる

虫の夢

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スズメ蜂が飛んできて

寒いのでどうしても胸元に入れてくれと言う

大変気の毒ではあったけれども

刺されたら痛いしあぶないし

どうしようかと考えあぐねているうちに

「失礼しますね」と彼はもう

入り込んでふこふこと温まっている

あれこの感じ

ふわふわあたたかなこの感じ

これスズメ蜂ぶんちょって

新種のぶんちょだったかなと

そおっとじっとその呼吸を見守っていたら

天井からぶうんといつかのてんとう虫が

「あの時はお世話になりました」

と降りてきた

よくお元気でこの冬を乗り越えましたねと

話していたら指の上の彼は

「ぼくのほんとの姿をお見せします」と

見たことのない虫に変身した

鮮やかすぎるコバルトブルーの上を

金のオーロラがめらめらと走っていた

あれなんてうつくしうつくしと良く見れば

背中から胸へと貫通する穴がある

誰が君にこんな酷いことをしたの?

と尋ねると

“永遠”を採取するものの手によって

刺し溜められたそうで

痛かったろうに可哀想に

それでそのピンは時間を差し止めることは

できたのだろうかどうだろうか

穴のあいた胸で君はなぜ

静かに笑っていられるのか

通り抜けてゆく風で心は冷え冷えとしないのか

聞こうとしたら

スズメ蜂ぶんちょが答えのかわりに

胸を背中までぶすりと刺した


なんとなく納得できて

猛烈な痛みが甘さに変わってゆく過程を

コマ送りでみてみた


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久しぶりの同時放鳥

無言で豆苗を食べた

ぼくのしっぽがぼろぼろなのは

ピリカにかみかみされたからじゃないよ

新しいのがぐんぐんのびてるところなの

          ぷぴ


換羽はつらいよ

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ちょっとだけケージからでてみた

今年の換羽はいつもよりしんどくて

ほとんど動かず寝てばかり

起きてる時はなんだか怒りたい気持ちがする

だって体じゅうもそもそかゆいんだもの

ええとね

ニンゲンならば

体じゅうから親知らずが皮膚をつきぬけて

生えてくるとこ想像してみて

痛痒くてつらいでしょ

そんなかんじ

(でも全身に歯がはえてたら

 はみがきたいへんだね!)

           ぷぷぷ

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夕暮れ当番はぼく

朝はいつでも新しく

夕暮れはいつでも懐かしい

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おにいちゃんをみてると

どうやら

おとなになるってたいへんそうだ

ぼくも前身かゆかゆになったら

今以上にカミカミ星人になるんだよ

            ぷぷぷ

朝はいつも始まりを始める

夕暮れはいつも終わりを終える


チェリー

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公園のベンチで男の人が

ギターを弾いていた

開きかけた桜の前で

ところどころつかえながら歌っていた

こどもたちは完全に無視して

枯れ枝で地面に

規則性の無い線を描いている

ぐねぐね大蛇がのたくった跡のようでもあり

波打ち際のようでもあり

これ以上崩しようのない草書体のようでもある

ギターは下手だが

のびやかな歌声は今日の風と相性がよい

通りをぬけて

木立をぬけて

庭作りに励むご婦人の耳元をぬけて

眩しい目で見上げる芝犬のしっぽを揺らして

去年の落とし物を舞い上げて

忘れたくないものは

忘れていくものの最後尾につけとこう

呑気な心地で一緒に歌えば

かたくなな結び目が春の陽気にほどけて

地面の地上絵も

新しい空にむかって

離陸を始めた

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桜の前でその人が歌っていたのは

スピッツの『チェリー』でした

君まったくこの午後にふさわしすぎるじゃないか


f:id:bunchosparrow:20210427195846j:plainかいぬし

ぼく さくらんぼカミカミできるの?


どうだったかな

ぶんちょはさくらんぼ食べていいのかな..


調べておきます

ピリカちゃん一人で遊ぶ

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ピリカです

お兄ちゃんがあんまりぐったりなので

今日の夕暮れ当番はぼくになりました

でもぼく

お兄ちゃんみたいにじいっと

夕陽を見つめるなんて難しい

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なんかそわそわ落ち着かなくて

カミカミできるものを探してばかり

だめだこりゃ

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おっ

これはぼくのうんこティッシュかな

いやきれいなティッシュ

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お兄ちゃん遊んでくれないから

あのティッシュにもぐって遊ぶね

           ぽぴ

見すぎるということはないほどに

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最後に見たのはいつだったか

思い出せないほどに

見つめてみる

目の前のこのニンゲンは 

      いきものは

一体なんなんだろうと

ふとわからなくなるほどに

見つめてみる

100年前にもこんな日があったね

この光景を違う目で見ていたね

こんな想いが

いつか読んだ本に書かれていたね

こんな時間は

さぼるなら今だよ 

ゆっくり行くがいいよ

太陽の牽引ものんびりやるがいいよ

肉体の一部として目があるのではなく

もう体全部目でしかないよな

ただ互いを映し合うためだけに

見つめ合えば

まなざしで互いをくるみあって

ぼくらはどちらがどちらかわからぬほど

ただひとつのいのちのようだね


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羽の抜けっぷりがピーク

ちょっとくちばしやアイリングも薄いです

がんばれ ぴっちゃん


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お兄ちゃん元気ないぶん

ぼく暴れておくよ!


ぴっちゃんは換羽期

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ぼく換羽期で朝のリサイタルも

やる気が出ない

ぼくが歌わないとピリカも歌わないので

朝が静かで

かいぬし寝坊した

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お兄ちゃんがケージから出てこないで

寝てばかりなので

ぼくひとりおやつタイム

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おにいちゃんいないとつまんないな

豆苗も元気なくなっちゃってる

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よし

ぼくお兄ちゃんの真似してぶわわ頭にしてみよう

あれ

なんだかたのしたのし

          ぶわわ