プールびらき

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今日ぼく

ブイプーに挑戦したの

今まで怖くて周りに飛び散る滴を

ちゅーちゅーするだけだったけど


飼い主のおててと一緒なら

入れるかなって

「押すなよ押すなよ」って言いながら

ちょっとずつ入ってみた


外では夏の太陽がじりじり

セミはしゃあしゃあ

カーテンはふうわりゆれて


かいぬしがぱしゃぱしゃと

指で水を弾くと

ぼくはくちばしぎちぎち

なんだかうきうきして

初プールにイン!!


さすがだねかいぬし

こうやってかいぬし

いろんな人を水にひきこんでるんだね


ぼくも、まんまと策にはまったわけだ


たいして濡れてない胸をかわかしながら

ぼくドヤ顔で

かいぬし笑わせてやった

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苦悩とか

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言われた通りだ

幸せの尺度は人によって違う


だから苦悩と苦悩を突き合わせて

比較してみたところで

そこには何のこたえも解決もないんだ


苦悩もまた

人に与えられた究極の自由のひとつだとか

言ったやつでてこいやー


その尊厳をすべて奪われる時

やはり苦悩とどう向き合うか

自ら態度決定をくだす尊さが

最期に人に与えられた自由なのだと


ぼくわかんないから

かいぬしのかわりに

きゃるきゃるしておくね

理不尽な世の中にくちばし剛を炸裂させとく


さあかいぬし

行っておいで

ぼくは止まり木の左側

そこからは風の強さと

雲の速さがよくみえる

ぼく ごはんたべて

   うんこして

   ひるねして

   

待ってるから行っておいで

お前に言われんでもわかってるわ

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とても疲れていたし

揺れている白い紫陽花が

一斉に焼き上がったメロンパンに見えたし

信号の点滅よりも

ハクセキレイのお尻の動きに

目を奪われたものだから


赤信号にかわったことに

気づくのが遅れてしまって

ごめんあそばせ


おそらく車の窓から

死ねとかなんとか言われたようだが

お前にいわれるまでもなく

そのうち死ぬから安心しろ

なんならお前も

そのうち死ぬから安心しろ


そんなことを思って笑いながら

寄ったコンビニでは

もちろんメロンパンを買って帰ったかいぬし


ぼくはペレットおいしおいしと

食べながら

裏側の意味をちゃんとわかってるよ

かいぬし


旧友と語らう

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今日はかいぬし

大切なお友達に会ってきたから

ぼくいい子でおるすばんぶんちょしてた


ろくでもない学生時代の中に

燦然と輝く

唯一無二の宝石なように

大切なお友達だから


パンケーキにどぼどぼ

メープルシロップをかけまくりながら

苦しかったこの数年の話や

過ちの話や

毒薬の話を

たくさんしてきたんだ


偉大なる魔法使いはかつて言っていた

すべての涙が悪しきものとは限らないと


どうだろうか

かいぬし

それで浄化されることもあるだろうか


でも理由はともあれ

おんなであることに

窒息しかけながら

涙が必要な夜ってのはあるものなんだろう


帰ってきて

ひとり呑みなおしをするかいぬしの気配を

ぼく

ほよよボールによりかかりながら

見守っておくよ( ´ ▽ ` )



正面顔で語る

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ぶんちょをよく知らない人がぼくを見て

ペンギンですか?

だって

ぷぷぷぷ


ぼくぶんちょだよ


老眼の人がぼくを見て

おにぎりですか?

だって

ぷぷぷぷぷ


ぼくぶんちょだってば


ぼくぶんちょでよかった

「将来何になりたいですか?」なんて

煩わしい質問うんざりだからね


かいぬしはめんどくさいから

大人の喜びそうな答えを用意して

宇宙飛行士とか

適当に答えていたこだもだったらしい


ぼくワシのように滑空できない

青空を自分の翼で味わうのは

どんな気分なんだろう

その時、風は

ぼくの耳に何を囁くのだろう

思いを馳せれば少し胸はざわつく


でもぼくは他の何にもなりたくないぶんちょで

かいぬしは他の何にもなれない人間だった


一羽とひとり

ぼくらは

少しさみしくて

誇らしく完璧で

猛々しく今日を生きたね


ぎゅわわ



GO TO HEAVEN?

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世界に許されるには

世界を許すことから始めなければならない


最後の選択は各々にまかせると

適度な具合で突き放すかみさまは

今の世界では

ほどよくゆるい


それでも

天国の門前は延々と

生真面目に距離を保って

品よくきれいに整列して

面接を待つよに最大限

好印象の仮面をまといながら

自分の番を待つ列がのびている


でも

かいぬしもぼくも並ばないんだ

あの世の天国ででも

この世の天国ででも

だいたいほとんど達成してしまったんだ

愛されることも

愛することも

腹8分目に

飲み干してしまったんだ


たくさん泳いだ日

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水は沈黙のように重く

深く沈んだ体にのしかかってくる


目をつぶって潜行すれば

浮力と推進力のすきまから

にやりと笑いかける何かがいて

息を止めてるのも忘れて

なんだよと返事をしそうになる


時間と意識が消失すれば

いつでもあまりにも無になりすぎて

ああ

人間は所詮は液体なんだな

溶け出してなくなってしまう心地よさ


ターンの数もどうでもいい

明日の疲れもどうでもいい

お財布わすれたけど

晩ご飯なんてどうにでもなる


指からこぼれ落ちる砂の感触のように

全身をそよぐ水に酔いながら


泳ぐ

どこまでも泳ぐ


ちょっぴり塩素の匂いをしのばせて

かいぬしが帰ってきたよ